プロローグ

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礼儀正しくしてほしいなら、それ相応の威厳ってやつを持ってほしいんだがな。 薄暗く光る電球を見上げながら、ボンヤリとそう思う。 今、書類をぺらぺらとめくっている上司には、そのカケラも感じない。 「……うん。いいんじゃない?ご苦労、大変だったろうに」 「当たり前ですよ…下界に何億人いると思ってるんですか?その中から条件を満たすであろう人達をしぼりだして……」 「あぁ、はいはいはい」 明らかに聞き流す体勢にはいっている上司に、顔をしかめてみせため息を着いた。 「それより、プログラミングはどうなってるんですか?」 「ふふっ、愚問を……」 椅子に座り、何周回ることが出来るか挑戦しながら、上司は答えた。 「ってことは出来たんですね?」 「ったりめぇよ、べらぼうめぇ!」 ノリがうざい。 「エンディングはどうすることになさったんです?」 「そりゃ……秘密だよ」 秘密……。それはそれで楽しくなるな。 男は含み笑いをしながら、書類を受け取りに向かう。 「はいよ」 「お手数かけまして」 大量の書類を抱えながら振り返りざまに言う。 さてと……次はどのタイミングで接触するか、入念に考えねば……。
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