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終わりへの一歩を踏み出そうとしたその時だった。
「お待ちください」
どこか人を安心させるような、しっかりとした声が耳に入ってきた。
後ろを振り向くと、まるで執事のような恰好をした、品の良さそうな(服のせいかもしれないが)男が、後ろで手を結んで立っていた。男は自信に満ちた誇らしげな顔にうっすらと笑みを浮かべ、こちらをじっと見つめている。
「えっと……何か?」
言ってから、間抜けな反応だということに気づく。こういう時は"近づくな!"みたいな反応をすべきだったのだろうか。
「ああ、落ち着いていらっしゃるようで。貴方の前の人など、本題に入るのに小一時間はかかりました」
「は?」
「いえいえ、こちらの話です」
小さくため息をついてから、執事は話しはじめた。
「おめでとうございます、小此木 優(オコノギ ユウ)様。貴方は今回初の試みである、『God Only Knows』……略して『GOK』ですが……に挑戦出来る権利を獲得されました」
「……え?」
何の話をしてるんだ?今流行りの厨二病ってやつかな?
執事は僕の顔にありありと出ている、〈説明求ム〉のメッセージを無視して、淡々と話しつづけた。
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