エピローグ

2/8
1338人が本棚に入れています
本棚に追加
/432ページ
「……」 カシャリ、と金属の冷たい音が響き渡る。 「(ここは……)」 少し、体が痛んだ。 しかしそれよりも、意識を取り戻した彼女は、自分の両手が動かせないことに気付き、 「っ!!」 否、両手だけに留まらない。 腹、足首にも、金属製の枷が取り付けられていて、身動きが取れない。 碧色の眼を動かして、自分の置かれている状況を探る。そして、気付いた。 「……!」 自分が架けられているのは、十字架だった。 処刑台として古くから使われてきた、あの十字架だ。 当然ながら身の危険を感じ、唯一動かすことの叶う頭を持ち上げ、周りを見渡す。しかし、薄暗くて、よく見えない。 背後、十字架の上方を見上げると、 「……時計?」 巨大な、時計盤らしきものが、うっすらと見えた。その針の位置までは分からない。
/432ページ

最初のコメントを投稿しよう!