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「ようこそ百目鬼 陽くん。君にはゲームをしてもらいます。するかしないかはコントローラーで操作してください。参加するなら○を不参加なら×を押してください」
少し躊躇した。逃げたいと思ったが、なんだか逃げ切れるのかどうか不安になった。
「…○だ」
すると若干小太りな男はこう切り出した
「おめでとう。君は選ばれたのです」
「…なんだ?」
「すぐに君の家に電話が鳴るのでとってください」
言葉通り、家に電話の音が鳴り響く。俺は部屋の子機に恐る恐る手を伸ばした。
「あぁ…待ちましたよ百目鬼くん。両親が死んでから早くも1学期分。どれだけ待たせるんですか?あなたは」
「お前は一体誰なんだよ!」
俺は見えもしない相手に、計り知れない憎悪をたぎらせいい放つ。
「まぁ落ち着いて下さい。これはゲーム…なんですから、気楽にいきましょう」
「…わかった」
「飲み込みが早くて助かりますよ。ルールは簡単です。RPGをしていただきます」
「………」
「主人公は貴方。場所は日本全体です…!」
男がそう言うと、妙な悪寒がした。
「窓の外をご覧ください」
俺はすぐさま窓際に行った。何故だかこの状況を理解することができた。
「ま…まさか?」
「お気づきの通りですよ。今、町はモンスターで溢れかえっています。まぁ所詮はビジョンですがね」
「…なら危害はないんだな?」
「そういうわけにはいきませんよ」
電話越しだが、相手の不敵な笑みを感じることができた。
「な、なんだって!おい、今すぐどうにかしろ!」
「それはできませんね。だって主人公は貴方なんですから」
俺はリモコンに手を伸ばし、ゲーム画面からテレビ中継に切り替えた。
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