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両親が死んだのは今年の4月。
父親が珍しく休みがとれたから
家族三人で祖父の家に向かっていた。
車で一時間、決して長くもない道を
最近の出来事や、他愛もないことを話したりして―――。
こんな毎日続けばいい
そう思った矢先だった。
「ガシャン!」と大きな音をあげたかと思えば、
一瞬目が真っ暗になって…。
気がついたら母親が覆い被さっていて
黒い雨が俺の体を濡らした。
それから状況を理解したのは事故から二日後のことだった。
「あぁ、二人とも死んじゃったんだ」
そう思っても涙が出てこなかった――。
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