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30分が経過して、ようやく「now loading」から真っ白な画面へと変わった。
少しずつ色がついていく。人影が姿を表していくがあまりしっかりとは見えない
一体何をしているんだ?発狂…時折悲鳴のようなものが聞こえる
「ね、ねぇ。これなんなのよ?」
「うるせぇ、俺も知らねぇよ」
やっと鮮明に見えてきた。アングルは白衣の男たちを回るようにして映していく。
なにかを囲んでいるようだ。なんだろう、すると一人の男が口を開いた。
「いやぁ、お宅の息子さんを提供していただけるなんて。さぞ、心が痛むでしょうに?」
「科学には犠牲がつきものですから。それにわが社のゲームと科学が融合する、そんな世紀の瞬間に立ち会ってるのですから」
聞き覚えのある声。時たまの休みしかもらえないのに、愚痴を一つもこぼさず家族を養ってくれた。
「―――父…さん?」
アングルは囲んでいる何かをとらえた。腕に、足に、腹に。機械のようなものが組み込まれているそんな子供が一人横たわっている…。
ははは、これはゲームの演出。そう頭によぎったが、声を発するごとに親近感がわいた。
―――親近感?
そんなものでは片付けられない。部屋を掃除する、道を箒ではく、雑巾がけをする。
そんな簡単なことではなかった。
…刹那。俺は悟った、なぜ俺は事故のとき無傷だったのか?
母親が覆い被さってくれたから?
座った位置が良かったから?
―――違う。
違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!!
俺は人造人間。そう直感した。
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