恋が始まる

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「もっとギュッって掴んでいいよ?」 「あ、は…はい」 由芽は彼の背中にあてていた手をギュッと腰にまわした そして彼の体温に思わずドキドキしてしまう 本当は由芽は二人乗りに慣れていなくてちょっと怖かったのだ でも全然知らない人にいきなりしがみつくなんて 失恋だしちょっと恥ずかしかったので我慢していた 「新入生…だよな?名前は?」 「あ、佐々木 由芽です」 「由芽ちゃんかー 俺は2年の河村 達也。 ちなみに野球部。」 「野球部なんですか…すごーい」 「うん、あ、そーだ マネージャー募集中なんだけど 由芽ちゃん興味ない?」   「えと…野球のルールとかよく知らないし…あたし部活に入るつもりないんです…」 「そっか…残念 でも由芽ちゃんみたいに可愛い子が入ったら逆に困るか(笑)」 可愛い…その言葉を聞いて顔が真っ赤になってしまった 何て返事したら良いのかわからず 手に少し力が入った 河村先輩… すごくいい人だなぁ 背中に顔を近づけると 微かにシャツから洗いたてのせっけんの香りがした
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