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「団長! 若いのに偉いんだねぇ、デュークさん。おじさん感動しちゃったよ」
少々年寄りじみた発言をしつつ、美夜は心底感心したような表情を浮かべる。
デュークはその言葉に深くは突っ込まず、「ありがとう」と一言だけ返した。
謙遜などをされるよりは随分と心象が良いなと、美夜は思う。
「俺のことはデュークで良いよ。 ところで、ミヤ……で良いかな?」
「はい、何でしょうか団長?」
美夜が呼称の了承がてら聞き返すと、デュークは爽やかな笑みはそのままに、のたまった。
「その格好で膝を立てるのは、控えた方が良いと思うよ」
一瞬何を言われているのか理解出来ず、美夜は首を傾げる。
が、ようやく思い当たり、自分の今の格好を省みた。
タートルネックプルオーバーに、プリーツのスカート、ブーツ、そして黒のロングコート。
そう、問題はスカートという点だ。
起き上がった時に毛布が外れてしまった為、足を覆うものは何も無い。
ということは、体育座りに近い今の格好では、デュークの位置からだとスカートの中が丸見えになってしまうという訳であり……
「~~~っつ!!」
美夜は顔を真っ赤にして慌てて膝を下ろし、足元を毛布で覆う。
それから、半ば恨みがましそうな表情でデュークを睨んだ。
「そういうことは、もっと早く言って……!」
「次からはそうするよ」
睨まれているというのに笑みを崩さぬまま、デュークはさらりと答える。
真っ赤な顔で上目遣い気味に睨まれても全く威圧感を感じないのは、まぁ仕方がないと言えよう。
尤も、なかなか可愛らしい表情であるとは、彼は思った訳だが。
次があってたまるかと思いつつ、美夜は諦めたかのように小さくため息を吐く。
それから、気を取り直してヴィクトルの方へと視線を向けた。
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