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「すぐに飯の用意させるから待ってな」
風呂場を出て、大食堂に着くと、ハマ様はそう言い自分を大食堂の端の一席に座らせた。
50人は座れるんじゃないかと思われるような大きいテーブルの、
1番端で少人数で食すというのは、何とも物寂しい。
目の前にはナイフやフォークなどのたくさんの食器が置いてあり、
一つとして使い方が分からなかった。
少し待つと、食事が運ばれて来た。
恐らく、自分が風呂に入る前から既に準備し始めてあったのか、
この短時間で作ったとは思えない程高級感の漂う料理だった。
そんな事を考えていると、
いつの間にかメニューの全てが出揃ったらしく
ハマ様はナイフとフォークを非常に上品に使って食べていた。
自分もそれを見て何とか真似しようとするものの、上手くいかず、
フォークから落ちてしまったり服にこぼしたりしてしまった。
ハマ様がそんな自分を見て仄かに笑った。
それがなんとも言えぬ感情をわかせ、頬が赤く染まった。
互いに言葉を発することも無く、
ひたすら黙々と食べ続け、
この食堂の大きさに比例し、気まずさも重くのしかかるような気がした。
「おい…お前、何か話せ」
「…え」
この気まずさに耐えられなくなってしまったのか
ハマ様が自分に無茶とも思える命令をした。
「えっと…じゃあ…
むかーし、昔…あるところに」
「…そういうのじゃない。」
気まずさを超えた
なんともいえない空気がその場に漂った。
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