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まるで、遠まわしに
“お前を、自由にしてやろう”
そう言っているかのような質問。
自分のただの甘い思い込みかもしれないが…、そうなのだろうが、
ハマ様は…...何か、違うものを持っている。自分は、それだけは確信していた。
そのことが、一層この甘い考えに説得力を持たせることとなった。
「自由…考えた…こともないです。
奴隷の自分の身があるのは…、常にわが身に存在する
主があってのものですから…」
多少、言葉に詰まりながらも
質問に答えた。
「…違う。それはただの模範解答。
お前は、自由を求めて、前の主から逃げ出したんだ。
さっき、生き方に疑問はないと、お前は言った。
でも、それだって、そんなはずはないんだ。
そうだろう?」
言われて、どきっとする。
的確に自分の欠点を指摘されたような感覚だった。
否定する事が、できない。
「隠さなくて良いから、ありのままを」
ハマ様は、それだけを口にした。
真剣な目、真剣な声。
自分は、その声にできるだけ応えなければならないような気がした。
「自由…は、
う…生まれたときから…自分が唯一
希望していた…ものです。」
臆病な心で、今にも折れそうなほどに緊張して、ドキドキして、
やっとの思いで、言葉にした。
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