初労働

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日が回ってからようやく眠りにつき ゆめを見ることもないまま 日が昇ってから目を覚ます。 壁にかかっている時計を見ると午前5時。 これまでといつもどおりの時間に起き、ベッドから降りる。 だが、これまでと違うのは この時間に起きたところで何もやることが無いと言うことだった。 前の主の所では 毎日5時におき、毛づくろいを始めなければ、 汚いままで主の所に行くとそれを理由にその日はさらに酷い仕打ちを受けることになる。 今の主…ハマ様のところでは お風呂に入れさせてもらえるので、その必要がない。 だが、体に染み付いた習慣というのは 努力をしなければ消えることはないだろう。 早起きで悪い事はないのだから構わないような気もする。 「掃除でも…やるか」 昨日掃除用具箱の場所と掃除の仕方は教わっていたので 掃除用に渡されていた服に、慣れない手つきで何とかして着替え、 地道に窓の掃除から始める。 これまでの人生(ドーマン生?)、物心ついてから毎日行ってきた掃除の腕にかけては 彼の右に出る者はそうそういるものじゃなかった。 それに、前の主のところでは 早く終わらせないと仕置きというペナルティも兼ね備えられていたため、 速さにおいても彼はかなり優秀な掃除人であった。
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