初労働

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「ふわ~ぁ… 君、起きるの早いな…。」 ボサボサの髪をかきながら ハマ様がパジャマ姿で廊下に現れた。 お金持ちの風格といったようなものは微塵も感じられなかった。 「あ、おはようございます…」 「うん、おはよ …何、掃除? って、…こんなに綺麗にしちゃって…」 「あ、ごめんなさい… まずかった…ですか?」 「いや、…他の人の仕事奪っちゃってっから… まぁ、良いんだけど。」 よかった。怒られているのではなかった。 そう心の中でそっと胸を撫で下ろした。 「この分だと…掃除の召使さんは休ませるか… 掃除終わったら、また大食堂集合。」 そう言いながら、ハマ様は自分の着替えの部屋へと向かった。 気づくと、掃除もこの窓ガラスを拭けば終わりなので さっと残りを拭き、召使用の服に着替えようと自分の部屋に戻った。 着替え終わり、大食堂に着くと もう既に食事の用意がされていた。 今日は昨日と違い、 自分も他の召使さんと一緒に食べるようだった。 それにしても、召使と一緒にご飯を食べるという主は、 あまりない例である気がする。 自分も空いている席に座り、すると いただきますの号令がなされ、食事が始まった。 皆、丁寧な食べ方ではあったが 他の召使さんと楽しく喋りながら食べていた。 中には、ハマ様に楽しそうに喋りかける人もいる(もちろん敬語を使っているが) ここでは主従関係がさほど重視されていないのだろうか? そう思いながら もそもそとご飯を食べ始める。 今日の朝食はパンであったので 食べ方の下品さがそこまで目立たないというのが少し救いであった。
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