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「だから俺、この世界で友達いないんだ。
生まれ持った身分でお金持ちになったんじゃなくて、
こつこつと地道に努力して、手に入れたもんだから
生意気だとか思われてるんだろうな。」
この世界というのは、いわゆるお金持ちの人達の中でということだろうか。
そういうことを言われても、いまいちピンとは来なかった。
自分とは全く縁の無い世界の話は、少し退屈だ。
「今となっては、そこそこの中流貴族よりはよっぽど力があるから。
生意気だとは思われているだろうけど、
結局俺からしたら格下だから、相手にしないことにしてる。」
これは、愚痴…だろうか?
そういうものとして反応したほうがいいのだろうか?
これほど優しい人でも、愚痴はこぼしたりするものなのか。
「それは、大変ですね…」
こう言う他、思いつかなかった。
「やっぱり退屈?
この話、いろんな召使さんにするけど、皆同じ反応。」
「いえ、そんなことは…」
「じゃあ、まだまだ話そうか?2時間くらい」
「え…いや…その…」
思わず口ごもってしまった。
即答で「ハイ」というのが模範解答のはずである。
何をやっているんだ。自分……
「君は素直だ。
そっちの方が反応としては嬉しいね。
仕事のことは、また後ででいい。
掃除が終わったら、声かけて。」
ハマ様は、ドアから出て行った。
それと同時に、何故か気が抜けたかのように自分は床にへたりこんだ。
尻尾をふんでしまい、「いてっ」と小さな声を上げながら。
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