最小不幸社会

7/7
209人が本棚に入れています
本棚に追加
/146ページ
広場を抜けると、さらに大きい広場に馬鹿でかい飛行船が待機していた。 自分はその中に強制的に連れさられ、 最後のハマの乗船とともに、すぐに飛行船は地を発った。 「あ…あの、助けてくださって ありがとうございます…」 やっとの思いで言葉を発する。 それまで何も喋らなかったのは、 今まで状況がつかめず、整理した結果、 自分が今ココで生きているのはこの男のおかげだという結論に、 たった今達したからだ。 だが、 「何を勘違いしてるのか知らないけど 俺はあんたをあの男から買い取っただけだ。 助けたわけじゃない。 これからは俺の奴隷として生きていくだけだ。」 その言葉は、ドーマンの心を抵抗なく貫いた。 結局、地獄の日々が 少し変わった形で、再び自分のもとに帰ってきただけ… 何も変わらないという事を悟った。 だが、それなら何故この男は...あの時...。 同時に引っ掛かりが、いつまでも心に詰まっていた。
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!