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「これを着ない日は逆に落ち着かないんです。…あ、グランドールでこの格好で過ごしても大丈夫ですか?」
「え、ええ。大丈夫ですけど…」
「良かった。…私、入浴以外でこれ脱ぎません」
そのリティスは一瞬きょとんとして、微笑んだ。
「そうですね…不老ですし、その方が良いかもしれませんね」
「…そこまで考えてはいませんでした」
「ふふ…。では、これから能力をお渡ししますね」
そう言って、リティスに両手を包まれる。その瞬間、暖かな光が体を包み、どくりと心臓が波打った。ややあって、膨大な情報が頭に流れ込んでくる。
「…終わりましたよ。能力と一緒に、グランドールの一般常識もお渡ししたのですが、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫です。グランドール、広いし、結構複雑なことになってるんですね」
戦争とかはないみたいだけど、元奴隷に対する差別が根強いある国もあるようだし。…気が滅入るなぁ。
「能力の説明はしますか?」
「いや、大丈夫です。大体分かったんで」
膨大な情報とともに、能力の一通りの使い方も理解した。あとは実際に使った方が早いだろう。
「そうですか。…では、グランドールにお送りします。貴女の旅路が、幸多いものになるよう祈っています!」
「はい、行ってきますね!」
私は笑顔で頷き(着ぐるみなので伝わったかは分からないが)、手を振った。リティスも笑顔で振りかえしてくれ、やがて眩い光に包まれ私は天界から姿を消した。
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