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5月
ある日の昼
太陽の光が燦然と照り付ける三階建て校舎の屋上で惰眠を貪る少年が一人、日本人特有の黒い髪が乱れるのも気にせずに腕を枕にして夢を見ていた
「ん…シュークリームぅ」
幸せそうな表情を浮かべ一向に起きる気配のない少年に階段を上る足音が一つ近付いていた
徐々に大きくなるそれは一度消え、次の瞬間にはバタンと言う音に変わり屋上へと侵入して行く、そして足音は歩みを止めず少年の側へとやって来た
「スゥ……起きろぉぉぉぉぉ!!」
「わっわわわわわ!!」
屋上一帯に広がる大声に少年は夢からの強制帰還を余儀なくされ反射的に上体を起こす
「修またサボってたな」
跳び起きた少年、この物語の主人公山中修は今まさに自分を夢から引きずり落した張本人、長い髪を一纏めにしポニーテールにしている如月春を見上げた
「なんだ春か脅かすなよ」
「修がこんなところで寝てるからでしょ」
長く綺麗な髪を揺らして修に顔を近づけ頬を膨らませる春
「俺が何処で寝ようがいいじゃねぇかよ」
「よくないっ」
更にこれでもかと顔を接近させ全く怖くない顔で凄む
「修が授業サボる度に幼なじみの私が探しに行かなきゃイケないんだからね」
「ハイハイそれは悪ぅございましたぁ」
完全にふざけまくった態度で謝る修が春の額に青筋を浮かび上がらせた
「…………」
無言で少し距離を取り足を命を刈り取る大鎌が如く構える
その風貌はまさに死神
「ちょっちょっと待ってッ!」
途端に焦りだす修
「問答無用!!」
だがその言葉は耳に届かず春は鎌を薙ぎ払い見事修の首を刈り取るのだった
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