プロローグ

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「うわッ」 背後から迫る浅黒い腕の迫力に気圧された修は恐怖で足がもつれ前方へと頭からすっ転ぶ 「チッ」 舌打ちを打った刀の女性は素早く修の許に駆け付け腹部に手を入れて持ち上げ腕に人一人抱えた状態でその場から飛び退く 入れ替わるように鬼の腕は誰もいなくなった地面を貫き砕いて瓦礫を散らし音を轟かせた 「そこから動くな」 「イテッ」 鬼から距離を取った後修を地面に落とした女性は刀を構え直し、腕を瓦礫から引き抜いた鬼と対峙する 「時間は掛けられないな」 右手に携えた透き通る美しい刀身に二本の指を置き、ある言葉を放つ 「開」 置いた指を鍔から剣先まで滑らせ通り過ぎた箇所から刀身が怪しく輝きやがて全てが淡い紅色に染まった頃それは禍々しい妖刀に変わる 「行こう、紅桜」 紅色を率いて駆けると同時に鬼も駆け、互いに距離を詰め合い間合いに踏み込む 「ガァァァァアア!!」 先手を打ったのは鬼、鋭く尖った爪を束ね槍を作り大きく振りかぶって相対する者に突き放つ 繰り出された槍を両目で捕らえ難無く見切った女性は迫るそれを紙一重で回避 「ハァッ」 鬼の懐まで踏み込んで接近し眼前に現れた浅黒い腹に紅桜を振るい薙ぎ紅色の一閃を描く 一瞬の静寂、鬼はその巨体から鮮血を噴き出し力無く地に伏し絶命する 「封」 彼女の言葉に従い紅桜は元の美しい刀に戻りそれを確認した女性は乱入してきた少年の許へ向かう 「おい」 呼びかけるが修は唖然とした表情で意識を鬼に向けており女性の声が聞こえていない 「ほう…無視か」 無言で殺気を撒き散らし抜かれたままの刀を振り上げる ビクッ 素人ですら感じ取れる程の殺気を全身に受けた修は震えながら顔を向けるとそこには血塗れた刀を振り上げる般若 「ひぃっごっごっごめんなさいっ何か知らないけどごめんなさい」 これはヤバイと反射的に逸速く身体が動き必死に謝る
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