プロローグ 「終わりと始まり」

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世界の終焉は人類同士の争いによって訪れると、誰もがそう信じて疑わなかった。 行き過ぎた科学力の発展は、驕った大国がやがて宇宙さえも地球と地続きに領有権を主張するのでは無いかと疑われ、それを裏付けるように人類は宇宙戦闘をも可能とする兵器を開発に成功していたのである。 CAF(コンバット・アームドフレーム)……約12m級の人型機動兵器の総称であり、両手両足や機体随所に設置されたアポジモーターを使った、宇宙空間での姿勢制御や旋回の効率化に加え、固定兵装を、自衛に使うもの以外に搭載せず、その他の兵装を、人間のように「手」で運用するそれは、宇宙空間における戦闘機の代わりになるものとして開発された。 しかし、いざ開発してみれば、地上では戦車を上回る地形踏破性や、兵装の交換による火力支援……加えて、フライト・ユニットを搭載すれば、ある程度自由に大気圏内を飛行できるという推進力の存在から、CAFは地上でも主力兵器の座を獲得したのである。 大国が人型の兵器と核ミサイルのスイッチをその手に持って睨み合う……そんな2020年から2025年までの五年間を、「第二の冷戦」と呼ぶ者もいた。 しかし、2026年に、国連に代わって発足された、「世界連邦」の存在が、その抑止力となった。 具体的には、世界連邦という名の通り、「地球全体を一つの国家として」纏めあげたのであり、加盟を拒む国は孤立する未来しか見えず、戦争を起こすにも代表評議会の決定で派遣された、その他の国々の勢力に鎮圧される――と、これで人類は当面の危機を回避した事になる。
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