Prologue

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「それでは、準備はいいか?」 「ああ…。」 ふと脳裏に家族の顔が浮かぶ。 天才ヴァイオリニストの母。 ヤクザの組長の父。 研究大好き天才学者の長男。 一流企業の天才デザイナーの二男。 そして、天才プログラマーの四男。 機械大好き厨二病の末っ子。 こんな天才だらけの混沌とした家庭で、皆の才能を少しずつ受け継いで生きてきたちょっぴり秀才の俺。 でも、秀才は努力したって天才には追いつけない。 そんな事実に絶望し、グレた俺。 こんな俺が来世で上手くやっていけるだろうか。 いや…やるんだよ。 信念を貫き通す。 信念―即ち、自身の正義。 人の正義なんか知ったことではない。 自分のだけで十分だ。 ただ、ガキだった頃とは違うんだ。 無意味に拳をふるうなんて馬鹿な事はしねぇ。 「おっさん、さんきゅ。」 「ああ。久しぶりに面白い人間に会えた。感謝する。」 「…ふっ」 面白いなんて言われたのは初めてだな。 さぁ、新しい人生だ。 じゃあな、みんな。…今の自分よ。 ちょっくら、行ってくる。
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