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「そうだな、君の理解の範囲で言えば、神―と言うところかな?」
「神様ねぇ…、随分大層な名前だな。」
俺は返事を聞き、訝しげに答えた。
どこか、このおっさんに言葉には偽りがない気がする。
もし、こいつが神でも、もう驚きの念すらわいてこない。
「ほう、驚かないのか?」
「驚きつかれた。」
自然と口からそんな言葉が出た。
そして、発言の後に自分で気づいた。
もう驚きすぎたのかもしれない。
それゆえに驚けない。
「ってことは、ここは神の間とかか?」
憶測で発言する。おおよそは合っているだろう。
「そうだな。それにあたって、お前は現在仮死状態である。いいか?」
「理解した。」
これも納得できた。
いまさら驚けないのもあるが。
「うむ、そうか。では本題に入ろう。」
おっさんは今までの笑みを崩し、真面目な顔になる。
急に周りの雰囲気が張り詰める。
「君は白井仁で正しいか?」
「ちげぇよ」
「…は?」
これは俺の口から出たものではない。
目の前のおっさんからだ。
「…俺は白井学、仁の双子の兄だよ。」
俺は頬杖をつき、あきれたように言う。
「学、か…。そうか、それはすまない事をした。」
「人違い、ねぇ…。んで、これからどうなるよ?」
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