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「そうじゃ、**。」
「…?」
「その子猫をワシらで面倒をみるがじゃ!ここは寺田屋でも人が余り来ん場所じゃき、きっと見つからん!!」
「!…でも龍馬さ…ッ!!?」
戸惑う**の口元を指先で押さえる。
「それで子猫の親を探して会わせてやるぜよ!」
「!」
ワシはこん娘の泣き顔は見とうない。
こん娘の笑っている顔が心底愛おしい。
こん娘が望む事…ワシはその全てを叶えてやりたい。
「にしし♪2人だけの秘密ぜよ?」
「…龍馬さん!!//」
ワシが指先で流れる涙を拭うと、恥ずかしそうにしながらも**は愛らしく笑った。
とても…とても愛らしく……。
その日から**と一緒
に子猫の所へ通う事が、毎日の日課に加わった。
「あはは、くすぐったいよ~!」
子猫に首元を舐められて笑う**。
「すっかり**に懐いておるのぅ。」
「えへへ、はい♪」
2人(と1匹)で過ごす時間はとても和やかで心地よく、ワシはくるくる変わる**の豊かな表情にどんどん惹かれていった。
いつかは元の場所へ帰してやらねばと思いながらも…。
ふと人の声が聞こえてきた。
「龍馬さんも姉さんも何処に行ったんスかねー?」
「全く世話のかかる奴らだ。先生にどれだけ迷惑がかかると思ってるんだ。」
以蔵と中岡がワシらを探しにやって来よった。
ワシはぐぃっと**の身体を引き寄せて、垣根の陰で息を潜める。
「龍馬さん?どうし…ッ!!」
**の口元を手で押さえて、その身体をギュッと抱きしめた。
「うーん…居ないっスね…。」
「寺田屋にこんな場所があったのか…。」
すぐ側を以蔵と中岡が通り過ぎる。
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