0人が本棚に入れています
本棚に追加
ピピピッ…
「……んぅ…。」
枕元で鳴り響くケータイのアラームで目を覚ます。
手探りでケータイを探し、アラームを止め身体を起こすと陽の光が零れるカーテンを勢いよく開けた。
シャッ!!
「くっ…!」
部屋いっぱいに降り注ぐ朝日に思わず目が眩む。
カラカラと窓を開けると心地よい春風が優しく頬を撫でた。
「…また、昔の夢を見たのぅ……。」
そう…
わしは生まれ変わって未来へやって来る事が出来た。
昔の…、
幕末を生きた"坂本龍馬"の記憶を持ったまま。
"平成"という時代に生まれ、あっという間に時は流れていった。
窓の外から室内へと視線の先を移すと、部屋の中には沢山の段ボール箱の山。
わしは今日、生まれ育った京都を出て東京へと立つ。
勿論、**を探してまた出逢う為に。
**を探す手ががりは"東京"しかない。
それでもわしは、**とまた出逢えると信じている。
百十数年の時を越えて幕末のわしの元へ**がやって来た"奇跡"…。
そしてまた時を越えてわしが未来へやって来れた"奇跡"。
これは偶然なんかじゃない…
わしと**は強い絆で結ばれておるに違いない。
必ずまた"奇跡"は起こる……!!
『**は同じこの時代のこの空の下に必ず居る』
わしはひたすらそれだけを信じて生きてきたんじゃ…。
ピンポーンと呼び鈴が鳴る。
気づけば時計はもう9時を回っていた。
玄関を開けると、荷物を取りに来た引越し屋が準備万端でやって来ていた。
最初のコメントを投稿しよう!