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東京へ来て数日…。
桜舞い散る中、わしはある高校の門の前に立っていた。
まだ着なれぬスーツにネクタイを絞めて。
今日からわしはこの高校の歴史教師になる。
まだ新学期は始まってなくとも、学校は部活動に励む生徒で賑わっていた。
「…なんか、ちくと緊張してきたのぅ……。」
我ながら"らしくない"と苦笑いしてしまうちや。
緊張を振り切るようにとその一歩を踏み出そうとした時、背後から女の子の声が近づいてきた。
「カナちゃーーーん!早く早く!!」
「もー、そんなに急がなくても部活は逃げない…って!?前見て、前ーーー!!!」
その声にわしもつられて振り返ると、すぐ目の前に一人の女の子が。
「「!!?」」
避ける間も無く、わしは走ってきた女の子とぶつかってしまった。
その拍子にバランスを崩して、そのまま二人で後ろへと倒れ込む。
「っ痛…腰を打ったき……。」
「い…痛たた、ごめんなさい…私、前見てなくて…!!」
勢いよくわしの胸に飛び込んできたその女の子の顔を見て思わず息をのむ。
動乱の幕末…
常にわしの隣で愛らしい笑顔を向けてくれた懐かしい顔。
**…!
**が、今わしの目の前におるがじゃ!!
わしは咄嗟にその手をとり、
「**!**じゃろう!!」
と、叫んだ。
「!!?えっ…あの…?!」
困惑する**に、わしは必死で訴える。
「わしじゃ!龍馬じゃ!!…わからんのか!!?」
「???…りょー…ま、さん??」
まるで初対面の人を見るような**の瞳。
「……わからん…のか?」
「ごめんなさい…人違いじゃないですか?」
……人違い?
わしが**を見間違えるわけがない。
何度も何度も夢に見た。
間違いなく目の前にいる少女は**なのに…。
おまんは…わしを忘れてしまったんか……?
信じたくないき…そんな事……
やっと…
やっと出逢えたというのに…。
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