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「…あ。もしかして新任の先生、ですか?」
わしと**のやりとりを横で見ていた“カナ”が、じっとわしの顔を見ながら聞いてきた。
「!
おお、そうぜよ。
今日からこん学校で歴史を教えちゅー、坂本じゃ。
―――坂本龍馬。
それがわしの名前ぜよ。」
「坂本…龍馬、先生…?」
「幕末の坂本龍馬と同姓同名だ…。」
「!
そうぜよ、その坂本龍馬と同じじゃき!!」
“カナ”の反応に淡い期待もしたけれど、名を明かしても**の表情は変わることはなくて…
初対面の人を見るような瞳のまま、わしをじっと見ていた。
「…気さくに“龍馬”と呼んでくれたら嬉しいのう、ほんにこれからよろしく!」
わしはにししと笑顔を作り、**の髪をくしゃりと撫でた。
「!」
「すまんちや、さっきは突然手を掴んだりして…痛かったじゃろう?」
「あ…いえ、その…大丈夫ですから…。」
「…ほうか。」
少し頬を赤く染めて、首を左右にプルプルと振る**。
目の前の少女はわしの記憶の中の**と、しぐさも表情も変わらないというのに…
わしが知っている**はここには居ない……
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