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「でも正直俺だってそんなに怖いとか思わないし、隼人なんて興味すらないだろ?」
「雅史の言うとおりだな。俺は幽霊なんて信じてないから怖い以前に興味すらない」
すると春哉はニヤニヤと怪しい笑みを浮かべ俺たちを見た
この顔を良からぬことを企んでいるときの表情だ
隼人もそれを察したようで、やれやれとでも言うように肩を竦めた。
「アイツも誘うんだよ」
「誰だよアイツって」
黙って携帯の画面を俺に見せてきた。
そこにはメール作成画面が表示されていて、本文には『今日の放課後俺ん家に来い、面白いもん見せてやるから』と打たれていた。
「お前なあ…」
隼人は呆れを通り越して心底疲れたように言った。
宛先には 幹沢 心(ミキサワ シン)と表示されていた
「おま…おいおい春哉、心にホラーゲームなんて見せたら後が怖いぞ?」
「一番おもしれえ反応してくれんじゃん」
心とは俺の幼馴染みだ。
心は俺なんかよりずっと成績がよくて、今は県内でも有名な進学校へ通っている。
右側のみが編み込まれた金髪に、タレ目ツリ眉な整った顔立ちをした心
見た目だけならそこらの不良と大差ないが、両親が医者で小さい頃からの英才教育のお陰か成績だけは目を疑うものだった。
俺と心は幼稚園からの腐れ縁で中学までを共にした仲だ
そして中学で春哉と知り合い三人でよく遊ぶようになったのだった。
ホラー好きの春哉に、ホラーが大の苦手な心はよくいじられていたが、俺はそれを近くで眺めているのがなんだか微笑ましくて好きだった。
「幹沢って、よくお前たちが話してる怖がりだよな?まったく、たちが悪いぞ春哉」
「俺は心の反応を見るためにゲームを買ったと言っても過言ではない。…まあ過言だけど」
どうやら心の反応を見たいがために買ったのではなく、単純に自分が楽しみたかっただけらしい。
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