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「ここが俺の家だ」
「いや来たことあるから、なあ隼人?」
「つい先週に邪魔したような気がするのは俺だけじゃないよな」
うん と肯定の意味で頷くと うるさい とでも言うように春哉は左手を俺らに向かってひらひらさせた。
俺と春哉は自転車通学。
だが隼人はバス通学なので自転車がなく、仕方なく春哉の自転車の後ろにのせてもらいここまでやって来た。
「さあ、入ってくれ」
春哉は玄関の扉を開けて手招きをする。
それをみて俺と隼人は勝手知ったると言わんばかりに一言「お邪魔します」と言って春哉の部屋に直行した。
「まだ心は来てないみたいだな」
「だな」
俺がベッドに、隼人が勉強机の椅子に腰掛けまだ来ていない春哉を少しの時間待っていた。
「お待たせ~」
軽い調子で部屋にやってきた春哉の手にはコーラと皿に盛られたスナック菓子が持たれていた。
「おばさんにお礼いっといてくれな」
隼人が言うとテーブルにお菓子を置いた春哉が右手でオーケーサインを作った。
「これが例のブツですぜ、旦那」
ニヤついた表情で差し出されたそれは学校で話していた新しいゲームだった。
ゲームのタイトルと黒い背景に赤い字で文字と少しグロテスクな絵が描いてあった。
年齢指定のありそうなソレは心の怖がりそうなものだと一目瞭然だった。
これを心の前でやろうと言うのだからなかなかたちが悪い。
だが反面からかうのが楽しいという気持ちもわかるのだ。
あまりに怖がるようなら止めに入ろうと思うが、それまでは俺も様子を見ようと思っている。
そんな俺も十分たちが悪いのかも知れないな。
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