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開かれる力
小さな村を一瞬にして灰へと化した時より三ヶ月ほど経った頃、辺りはすっかり雪化粧。寒さも痛みに変わるくらいの冷え込みが、毎日のように続くようになってきた。
小さな村の名はコレア。ここグランドバール城にとって重要な食料生産場であった。その重要拠点の損失は、この冬を乗り切るためにはとても厳しい現状を晒している。
ドラゴンの来襲とはここまで深く傷跡を残すとは、誰しもが予測を出来るものではなかった。そして…それは街だけでなく、力も…。
グランドバール城下町のはずれにあるミラの屋敷。まわりの家と比べて一際大きな屋敷である。そんな屋敷の中では、暖炉の薪が赤々と燃え、室内を暖めていた。丁度夕餉の食卓を囲んでいた。
「あれから…もう一つの季節が過ぎたのか。あっというまだな。」
「そうね。ま、とりあえずはじめましょうか。ユリ、準備はいい?」
「はい、ミラさん。グラーダさんも…はい、これ」
「ああ…。それでは、リューのSランク昇進に乾杯。」
『乾杯。』
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