0人が本棚に入れています
本棚に追加
各々のグラスに注がれた飲み物を飲み干す一同。
「ふう~。とはいえ…グラーダ、俺はあまり喜べねぇな。お前の腕の分の価値があるか、俺には自信もねぇ。」
グラーダはドラゴンの襲来の際、アクシデントに見舞われ、左腕を失った。人の身丈ほどある大剣を振るっていた彼にとって、それは命を落としたに等しいほどのものであった。
グラーダは、失った左腕辺りを押さえながら、ユリ…あの災害の中で救った少女を気遣うように話し始める。
「そう言うなリュー。確かに俺の腕は失ったが、人の命が救えた。俺らの意義はそこにある。お前も忘れるな。」
「グラーダさん…。」
グラーダは微笑みながら、右腕でユリの頭を撫でる。
「相変わらず志の高い方ですな。ま、精進するさ。なあミラ…ミラ?」
ミラはグラーダとユリをじっと見ながら、少し不機嫌そうな顔をする。
「まったく…あの娘が…。」
「なぁ、ミラってば?ミラちゃ~ん?」
「何よ!うるさいわね!」
「はぁ?!なんで怒ってるんだよ!あ、もしかーしてー。」
「…何でもないわよ!ほら!今日はあなたのお祝いなんだから、もっと飲みなさいよ。ホラ!ホラ!!」
リューの言いたいことはミラにはなんとなく感じるところがあった。それを隠すように、リューに八つ当たりをする格好になった。
最初のコメントを投稿しよう!