永遠の距離

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がやがやと皆の騒ぐ音が飛び交い、近くにいても少し大きな声で話さないといけない。 それほどに騒がしい、今日の私達の楽屋。 そんな楽屋の隅っこ。 一人でゲームをやっているその姿。 楽しいのか楽しくないのかわからないような顔でゲームをしている君を見つければ、私は今日も飛びつくんだ。 「こじぱー!今日も可愛いね!」 「もー、優ちゃん重いー」 「でへへーっ、こじぱ柔らかーい!」 もー、なんて言いながらも私を背中に張り付けた状態でゲームを再開するこじぱ。 そのゲーム機から聴こえてくる音は、周りの皆の声ですぐにかき消されてしまって全く聴こえない。 「こじぱー、ちゅー!」 私がそう言って唇を尖らせれば、優ちゃんタコみたい、って。 そう言って笑う君を見て、私も笑うんだ。 こうやって笑いあえるのも、今の関係。 いまの距離が友達だから。 何度、この距離を縮めたいと思ったか。 そして、それを思うたびに、何度この距離が遠くなるのを恐れたか。 結局は、恐いんだ。 .
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