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「友、ココアね」
それだけ言ってプイッとそっぽを向いてしまったともちん。
いきなりだったが、恐らくココアを入れろ、とゆう意味だろう。
思わず出てしまったため息をよそに、私はいそいそとココアを入れる。
その間もずっと、後ろを向いているともちんの顔は膨れっ面なのだろう。
ついでに自分の分のコーヒーも入れて、二つのおそろいのマグカップを持っていく。
「ココア、できたよ」
もぞもぞとこちらを振り向いたともちんは、チラッと私の顔を覗き見ると、すぐにマグカップを手に取り、後ろを向いてしまった。
ホント、猫かあんたは。
そんなことは口が裂けても言えないので、黙って自分もコーヒーを口へ運ぶ。
独特な香りと風味が私の口の中を満たす。
すると、急にこちらを振り返ったともちん。
ズズッとコーヒーをすすっている状態だったため、どうした?、と、目を少し見開いて返事をした。
また何か思ってもいない憎まれ口を言うのかと思っていたけど、それは全然違くて。
ともちんの口から出たのは、想像もしていなかった可愛い言葉だった。
「ねぇ、才加はさ、こんなわがままな友、好きなの?」
そんな可愛い言葉とは裏腹に、いつになく真剣な表情のともちん。
私はニッコリと微笑んで、ともちんの透き通るような綺麗な髪を撫でながら呟いた。
「うん、大好きだよ」
そうやってそっぽを向きながらも、耳まで真っ赤に染める、ともちんのことが。
ーend。
《秋元才加》×《板野友美》
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