1151人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
──……
「で、だ。どうしてアンタがここにいるんだよ?」
俺は、闘技場の真ん中に立っているある人に向かって、呆れ顔で尋ねた。
「どうしてって……。私が紹介したギルドなのよ? 私がギルドマスターでも何ら問題はないでしょう?」
「だったら、わざわざこんな審査しなくても、リーナの登録を認めてもいいじゃんか」
「それはそうなんだけどね。でも、確かめてみたいのよね。未熟者とはいえ四大の一人を倒し、キリエを捕らえてきたあなたの力を」
……ぁあ、どうしてこうなるんだ。
俺は大仰に頭を抱えた。
後ろの観客席からは、フィリ姉にケガさせたらコロス! みたいな凄まじい眼光が飛んできているし。
その隣ではオロオロしているマスターと、特に興味なさげなキリエがいて……。
「はぁ」
何かもう、溜め息しかでてこなかった。
フィリアの食えなさ加減と、俺自身の置かれている状況に。
そして、この戦いの後メルから受けることになるであろう、謂われなきおしおきを想像して。
「……はぁ」
溜め息をもう一つ。
俺は、フィリアを見つめ、このままこうしているわけにもいかず、口を開いた。
最初のコメントを投稿しよう!