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灼熱の太陽の下、マリオンは呟く。自慢のテンガロハットもウェスタンシャツもジーンズも今ばかりは全く役に立っていない。今回の旅のために設えた防砂コートすら役に立っているか微妙なラインだ。
「あっじぃ……」
見渡せど見渡せど、視界に広がる砂、空、丘、岩、砂砂砂。流石は世界にある7つの大海の内唯一『陸』に存在する海、ダーエーナ大砂海である。
「み……水ぅぅ……」
傾け、そして気付く。水筒は既に空だった。
『渇き』を意味するその名が示す通り、ダーエーナ大砂海にはたった一ヶ所にしか水はない。
「うああああ~……水水みみず~……」
何であたしがこんな目に、と思った途端だんまりを決め込む相棒に無性に腹が立った。
「くそったれぇぇぇッ!」
「それも、これもあんたのせいじゃないッ! この、この、何とか言いなさいよッ!」
思い切り殴る、蹴る。それでも相棒は黙ったまま。
「ボンクラ、根暗、役立たずッ!時代遅れのポンコツスクラップがッ!」
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