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金目になりそうなものはない。そう判断したアレックスの関心はとても低い。おーい、となおも呼びかけるカザハラに、アレックスはちちち、と指を振る。
「カザハラさん。私ここの方達はすごく馬鹿だと思うんです。だってこんな場所ですよ? ちょっと掘ったらすぐ崩れるってカザハラさんでもわかりますよね?」
勿論、とカザハラは頷く。
この辺りの岩が非常に脆いことなど常識中の常識。
「つーかお前、俺を馬鹿にしてるな?」
「正解です、流石カザハラさんッ! ならば私の言いたいこともわかるはずッ!」
そして、調子のいいアレックスが自分をからかっていることも知っていた。カザハラは苦笑し、時折口にする掟を口にする。
「荒野の掟その1ッ! 馬鹿と間抜けは野垂れ死にッ!……ってか。だがこうも言うぜ?」
「荒野の掟その7ッ! 恩も仇も万倍返しッ!……前々から思ってたんですけど、この掟守ってる人あんまりいませんよね?」
「うるせーなー。どうせ生きるなら気持ちよく生きたいじゃねェか」
「はい。だからお金にならないことはしたくありませんッ!」
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