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この辺りには珍しい、色素の抜け落ちたような少女だった。肌も髪も何もかもが不自然に白い。それでいて彼女の格好はこれまた無地の白いワンピース1枚のみ。外の環境を考慮すれば自殺志願者かと問い質したくなる格好だ。
カザハラは屈んで倒れている少女の頬を軽く叩く。少女は小さな声こそ漏らすが起きる気配はない。
「あ! そういえばさっき誰かに足を掴まれたような掴まれなかったような」
「そりゃ重くもなる訳だ。一応無事みたいだし、とりあえず都まで連れて帰ろうぜ」
カザハラは少女を運ぼうと考え、しかし手は空中を漂うばかりである。きっとどこをどう持てばいいのかわからないのだろう。
「何なら私が運びましょうか?」
一一私なら迷いなく獲物みたいに肩で担ぐ癖にッ!
若干の苛立ち混じりのアレックスは提案する。
「いや、あー、悪いな。その、助かる」
ほっとしたような残念そうな歯切れの悪い感謝だった。
何となく、気に食わない。
「いえいえ、別に構いませんよ? カザハラさんは非力ですし、任せると変なトコ触りますので」
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