第一章:少年とは

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「なんで待ち伏せされていると分かった!?」 「別に。俺は目がいいからな。銃を構えているのが見えただけだ」 「で、デタラメな――!」 嘘は言っていない。 戦いにおいて、目は良いに越したことは無い。 だから俺はナンバーズになる過程で、人間よりも高い視力を得た。 だが、それだけでは駄目だ。 人間は『見えるだけでは気づかない』。 『そこに意識を向けなければ、気づけない』のだ。 何十キロと言う速度を出している車の中、外の景色全てを把握すると言うことは、外にある全てに意識を向けると言うことは、『人間では不可能』だ。 だから男はデタラメと評した。 ただ目がいいだけでは気づけない。 ただ周りを眺めているだけでは気づかない。 ましてや、停まっている車の中の様子や、建物の3階にいる人間の動きまでは――。 「成る程。確かに『化け物』だな」 男は少し冷静さを取り戻したのか、先程より幾分か安定した運転をしながらそう呟いた。 「ああ。少なくとも、人間じゃない」 そして俺は前を向いたまま、後方の車に向けて銃弾を放つ。 弾はそのまま赤い車のフロントガラスを突き破り、運転席の女性の眉間を撃ち抜いた。 そしてもう一発。 銃を構えていた男の眉間を撃ち抜くと、俺は銃をしまった。 「とりあえずはこれで問題ない」 「……期待以上だな。ナンバーズ」 「それはどうも」 俺は心の篭っていない声で礼を言った。
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