我輩は幽霊である

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あーあ、マジで一ページトイレで流しちまった……トイレだけに。 とりあえずトイレから出た俺だが……もうほとんど時間ねーな…… まあとりあえずみんなのところに戻るか…… カランッ! 俺の足になにかが当たる感覚がした。 ん?なんだ? ふと足元を見ると、一つのヘアピンが転がっていた。 なんだ?誰かの落とし物か? もしかしたらクラスメートの落とし物かも知れない拾っていくか。 もし坂上の落とし物で俺が拾ってあげて仲良くなれたら……へへへ! と、まあ馬鹿みたいな妄想を繰り広げていた俺だが…… このヘアピンを拾うことで俺のこれからの生活が大きく左右されることを知る由もなかった。 そしてやっとみんなのところへ戻る俺。 みんなはかなり盛り上がってる様子で、なんかやる瀬ない気持ちになった。 「おう俊介、遅かったな」 「うん、ちょっとな」 俺は今話しかけてきた男の隣に座る。 この俺に真っ先に話しかけてきたのは喜村信也、俺の唯一の友人と呼べる存在だ、短い髪に細い目が特徴。通称喜村兄。 なんで兄かと言うと…… 「一之瀬ってさ、よくトイレ行くよね、お腹弱いの?」 俺の向かいに座る女子が話しかけてくる。 この女子は喜村優花、気が強くて男勝りなショートヘアの女子、なんとさっき紹介した喜村信也の双子の妹である。通称喜村妹。 ちなみにこの双子は俺が坂上を好きなことを知っている。 「ど、どうだっていいだろそんなこと!」 「それよりさーあ、今日キララちゃん来てるよ!チャンスよチャンス!」 喜村妹はウザったらしく腕を前に出しガッツポーズする。 ちなみにキララちゃんっつーのは坂上のことね。 坂上は遠くの席に座って話をしていた。 「か、関係ないだろ!あんまり大きい声で言うな、他の奴に聞こえるだろ……」 「キララちゃーん!こっちおいでよ!」 喜村妹は坂上の方を向き、手招きする。 坂上は少し困惑した様子でこっちを見る。 「おい馬鹿!止めろ!」 「こういうときが積極的に行かないとダメよ、ファイファイ!」 なにこいつぶん殴りたい…… しかしこれはホントにチャンスなのではないだろうか? 今まで坂上と面と向かって話したことなかったからな。 正直トーク力には全然自信ないけど、やるしかないな。 「この肉うまいな」 黙々と肉を食い続ける信也を余所に気合いを入れる俺。
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