第一章:頭痛。

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「やばい!」 信号がチカチカと点滅している。 これは間に合わないと判断し、違う道を選択する。 急がば回れ、だ。 そう考え、いつもと違う道をただ必死に息を荒くしながら立ち漕ぎをする。 無駄に青く澄んだ空。 まだ春だと言うのに、私の首に一筋汗が流れる。 つー、と。 「また赤!?」 再び信号に出会した時も信号は赤。 今日は本当に、ついてない。 信号を待つ間、息を整える。 急いで無理に漕ぎ続けてる所為か、頭がクラッとした。 「う……っ」 酸欠かな、と疑問を持った瞬間、今まで味わったことのないほどの尋常ではない頭痛が私を襲った。 「痛い……!何っ、コレ!?」 蘭。 早く、来てよ。 「……っ!!」 誰かの声が頭の中で響く。 直接頭に入ってくるように声が響く。 誰なのーーーーーー? 頭が、痛い。 ただ頭を抑えて、その場に崩れる。 周りに居た人たちも私のことを心配そうに集まってきた。 ズキズキと、消えない頭痛。 ーーーーーーー蘭。 徐々に小さくなっていく、私を呼ぶ声。 頭の痛みに耐えられなくなった私は、そのまま意識を手放してしまった。 .
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