第一章:頭痛。

8/13
前へ
/29ページ
次へ
誰かが私を呼び、頭痛で倒れて病院に運ばれてから、一週間が経った。 私の名を呼んだ誰かのことなんて忘れるくらい、忙しい日を送っている。 学校、部活、授業、委員会など休み時間と放課後も使って学校生活を楽しんでいた。 「蘭花、息する暇も無しだったねー」 「ほんっと、疲れた!昼休みにやっと休憩出来るなんて、高校生活じゃ考えらんないよ!」 はあっと溜息を吐きながら机にうつ伏せると、クスクスと目の前に居る女友達、呉羽は笑う。 容姿が綺麗な呉羽は校内では、すごくモテる。 毎日一回は告白されるような女の子。 そんな子が中学校からの私の一番の友達。 唯一の、女友達。 「お弁当どこで食べよっかー?」 「よし、じゃあ、屋上だね」 二ッと笑った私に、柔らかく弧を描いて微笑んだ呉羽を見て、立ち上がる。 元気が私の取り柄だ、と思って弁当箱を持った。 行こうと呉羽に言おうと振り向くと、そこには呉羽じゃない人が居た。 「俺らと一緒に飯食おうぜ」 ニカッと太陽が差し込むかのように明るい笑顔を見せた彼を見て、再び溜息を吐いた。 短髪黒髪、前髪を上げてヘアバンドを付けている彼の名前は、新海。 私の男友達の一人。 「てんめー、あからさまに嫌がんなよ」 「別に嫌がってないし。呉羽にも聞いてよね」 「俺が許可とったから一緒に食べよーや」 ふんっと偉そうに私が新海に言ったら、 背後から独特の話し方の声がした。 驚いて肩を上げてしまい、ゆっくり振り返るとニコニコと笑っている男友達、怜。 「怜。あんた、神出鬼没過ぎる」 苦笑して言うと、にっこりと笑顔を返してくる。 大阪出身だからか、イントネーションが違うくて怜と居るのは楽しい。 「早く飯食べよーや。腹減ったわ」 「そうだね、呉羽行こうよ!」 笑顔を向けて呉羽に言うと、嬉しそうに呉羽は頷いた。 .
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加