学園へ

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相変わらずの二人の様子に改めてうれしくなった。 竜の的確に僕の急所を突いてくる冗談もいつも通りなのだが、気を付けて欲しい。 本人曰く悪気は無いらしいので、付き合いが浅い人には気をつけていられるのだろうか。喧嘩になりそうで心配だ。 「まったく、冗談はもう少し考えてあげてよ。奏は成長したもんね。」 どうやら真面目なレオは僕の成長を見つけてくれた様子。 僕だって成長してるよね? こちらを見ながらウィンクしてみせるその堂々とした姿に期待せずにはいられない。 レオはいつも僕に優しかったよね、姐さんなら分かってくれてるよね、 「ほら全体的に見てみなよ、雰囲気女の子らしくなったじゃない。」 「僕男だから!」 僕の希望は空しく消えていった。 悪意のないキラキラしたその目になにも言えない。 身長はあんまり伸びてないかもだけど、他にもマシなのあったよね? はっと以前からレオが妹扱いしていたのを思いだし、僕はさめざめと泣きながらヒートアップしていく二人の討論を見守ることしかできかった。 奏女の子説が前提で進む二人の話にメンタルがブレイクされそうになる中、見かねた勇人が何とか話を収めてくれた。 奏狩りとも言えそうな僕の地獄が終わって数分後、もう式場が開くかな、とか話始めていたころだ。 校内に放送が突然鳴り響いた。 「レディース&ジェントルメーン、新入生の諸君おはよう! 随分待たせたようだな! いよいよ待ちに待った入学式会場の準備が整った! 予定時刻より遅くなったが、まあ気にするな。 結構時間掛かっちまったのは、会長の統率力不足だ。 私らは知らん。時間かつかつだからさっさと来い。以上」
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