クラス

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帰ろうとした判断は間違って無かったみたいで、ポツポツと雨が降りだしてきた時にはウェルーンさんも寮に帰ることができたのだが。 「あー降ってきたなー」 だが僕が家に帰るまでに雨が本降りになってきた。 小雨の内に小走りをしていたけれど大慌て。 寮の入口は目視できていたが寮に入る頃にはびしょびしょになっていた。 玄関に入ってすぐの場所に公衆電話ほどの箱がいくつも並んでいて、《濡れている方は御自由にお使いください》と書いてある。 なんでもこの箱は『速効乾燥装置ドライ君X』というもので、身体を乾かすだけでなく着ている服も乾かせるという優れもの。 2年前位から商品化されていて公共の施設で大ヒット。製作者がこの学園の理事長ということも含めて誠に驚きの一品である。 早速この文明の利器を使って体をからっと乾かす。 ドライ君Xに入ってから約2分後、からっと乾いた僕はエレベーターを使って自分の部屋に帰ったのだった。 「ただいまー」 返事は勿論ない、改めて自分の新しい生活が始まっていることを実感した。 元々は僕は孤児院育ちだったため、こんな風に静かな中で過ごすことは新鮮に感じる。 雨音に静かに耳を傾けながらゆっくりと寛ぎたいところだが、それ以上に体が睡眠を欲しているみたいだ。 今日一日色々あったな~、明日からもっと忙しくなるだろうからゆっくり休もう。 みんなと久しぶりにお話しできた。それに新しい友達もできた。 少し気分が高揚していたが、その微睡みに身を任せてかなり早い眠りについた。 静かな部屋を寝息と時計の秒針の音が、 外で降り続ける雨音が優しく包んでいた。
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