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部屋から規則正しい寝息が聞こえる。余程疲れていたのか、深く眠りにつき身動ぎ一つしていない。
――――奏、君はもう眠ってしまったのか――
ぽつりぽつり、雨垂れが落ちる。
通り雨は止んでしまったのだろう。雨が降る前は日が高く昇っていたのだが、日は傾き部屋を夕焼け色に染めている。
――――しばらく見ない間に本当に大きくなったね――
見えない誰かの懐かしむ声はゆったりと話す。
――――まだ君に会うことは出来ないだろうけど……その時はちゃんと思い出してくれるよね――
夕日は名残惜しそうに半円を沈めている。やがて部屋にいた誰かの気配は消えていた。
夕日が沈みきった頃、
トントン
「かっなでー、いるかー」
深い眠り、所謂ノンレム睡眠からレム睡眠に移行しはじめていた僕はその大きな声に目が覚める。
これはレオの声だろう。
眠気が抜けきらずうつらうつらとしていた僕はとりあえず玄関へ。
「はいはい、今出ます」
扉を開けると見知った顔ぶれが揃っていた。
勇人やレオ達は親睦会と入学祝いを含めて食事に行こうということになり、僕を誘いに来たらしかった。
「勿論行くよ」
「準備万端…ってことはないみたいだな」
「俺達は外で待ってるから早く出てこいよ」
竜の提案を受け、みんなに悪いが外で待ってもらうことに。
空には雲一つなく星が輝いている。
ぱぱっ、と着替えや戸締まりを済ませたり僕は足早に彼らの元へと急いだ。
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