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親睦会等を兼ねた外食に向かう奏達は近くのファミレスに向かっていた。
日が沈んだと言っても、まだまだ回りの活気は衰えていない。
こうして歩いている歩道沿いの店や道路を走る車の数には変わりなく、会社員や学生と思わしき姿の人々が見受けられる。
先陣を切って歩いているレオ、咲、エルスの三人は何やら楽しそうに話している。
店を決めたのも彼女たちでその時にはもうすでに砕けた口調で話し合っていた。
互いに今日会ったばかりとは思えないほどで仲の良い様子である。
暫く歩くとファミレスを示す大きな看板が見え始めてきた。
「本当、不思議だな」
勇人は空を見上げながらふと呟く。
「何がー?」
隣を歩く奏は顔を上げて返事を返す。そのまた隣を歩く竜も勇人の顔を見る。
「レオ達がいつの間にかあんなに仲良くなってることかい?俺としては驚きはないが。」
少し怪訝そうに竜は話し、勇人と同じように空を見上げる。
「そうじゃないよ。どういう訳だか座標が違ってる筈のこの学園内でも、日本の夜空と同じものが見えるんだなー、と思ってさ。」
彼らがこの学園に来る前は日本の街に住んでいたからだ。
確かに今の夜空はその時の空と変わりはない。
「うーん。どうしてだろうね。」
見上げた空には弱々しく輝く星と共に店の看板が見えた。
もう目的地についたみたいだ。
店に入っていく彼らを背に一際大きな星が輝いた。
まだまだ夜は始まったばかり、星々の輝きもしっかりと見えなかった。
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