プロローグ

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……とまぁ意味有りげに前置きをしたが、ようは昔から何度見ている夢を見たのだ。 昨晩降り続いていた雨もすっかり止んでしまったようで、鳥の囀ずりが聞こえるほど静かな早朝である。 いつもならまだ少し眠っていられる筈の時間だが、そんな夢の事もあって早く目が覚めてしまった。 折角早起き出来たのだが、季節は寒さが残る春先。 僕は布団から出る決心が出来ず、毛布にくるまりながら先ほどの夢を思い返した。 確か内容は…… 見渡す限りどこまでも果てない大地が広がっていて、自分の他に誰も居ない 自分の意思とは関係なく歩いていき 黒曜石を切り出して作ったように真っ黒な石にたどり着く いままでならこの辺で目が覚めていたが、今日のは続きがあって 石のそばには綺麗な花束が横に供えられてあって   なんだろうこれ? と思い、供えられた花に近づくとノイズがかかった声でなにか聞こえ、視界が真っ白になっていき それに伴い意識もはっきりしなくなり… 目が覚める、といった感じだった……         筈である多分… さっき視た夢なのに自信ないな… ―ジリリリィィ― ―カチッ― 「なんだったんだ…あの夢…」 やはり思い出してもよく判らない夢だ。うん気にしないでいよう。 そう思いながら目覚まし時計を止め僕は上体起こしそう呟く。
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