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眠気をともなった欠伸をしながら伸びを一つ
カーテンの隙間からもれる朝日を一瞥しながら時計を確認する。
思いの外、時間が経ってしまったようだ。折角の早起きを無駄にしてしまうなんて…。
「……はぁ~。」
僕はため息を漏らしながら立ち上がる。
早起きは三文の得と言うが、布団から出なければ得も何もないね、僕は寒々とした部屋でまた小さくため息をつく。
結局、目覚まし時計通りの時間になってしまったか。
気分的なものも相まってじめじめしている部屋のカーテンを開け、隅っこに固めて置いてる段ボールの整頓に取りかかる。
僕こと蒼城 奏は最近―というより昨日この部屋に引っ越してきた14歳の『男子』学生なのだ。
過去に、名前や容姿のこともあってか性別を間違えて思われることもしばしばあった……誰が何と言おうと僕は断じて女子でない。
うん、絶対ダメ、勘違い。
そんな僕は学習机の横に貼りつけてある今週の標語について考えながら黙々と整頓をしていく。
天気は昨晩大雨だったが、快晴で朝早くから太陽の光がいっぱいに部屋へ射し込んでくる。
まだ少し肌寒く感じるが我慢しながら―あ、暖房つければよかった-なんて思いながら、あらかたの段ボールを整理し終えた。
一仕事終えた感じの達成感。ベッドの上にちょこんと座らせていた熊のぬいぐるみ(ランボー)を抱き抱えて「僕やったよ!」と語りかける……僕は何がしたいんだろう……。
気落ちしながら、まだ残っている段ボールから一枚冊子をとりだした。
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