プロローグ

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入学式にはそれほど多くの荷物は必要なく、準備を始めてから全然時間はかからなかった。 冊子をよむ方がやはり時間がかかる。もっと内容を簡略化できないものか……。 荷物を纏め終えた僕はさっそくカバンを玄関近くに置き、食事の準備に取り掛かった。 食事といってもただのトースト、故に焼くだけの作業、その間に制服に着替えることも忘れない。 着慣れてない真新しい制服姿を鏡に見ながら、学園へ期待を膨らませる。 目指せ友達100人! 食事が終わった頃、携帯電話からメール受信をつげる音が鳴りだした。 「やっときたかな?」 誰かに告げるでもなくそう呟き受信ボックスを開く。 内容は短く、待ち合わせ場所が記されており送信者の欄には【雨宮 勇人】と表示されている。 雨宮 勇人とは小学生の頃からの付き合いで、彼もまたこの学園に進学することが決まっている。 彼は面倒見がよく、頼りなるのだが、 ―あれ?集合時間は……。 こんな風に一言二言たりない。 時間まで余裕があるとたかを括っていたが、此ではいつ集合かさっぱりだ。 僕の外国語の理解ぐらいさっぱりだ。 食事は終えていたので急いで片付け、ちゃっちゃと勇人との待ち合わせ場所を確認しながら荷物を纏め部屋を飛び出していった。
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