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私は今、学校の裏庭に小さく丸まって座っている。
手に持っているのは、大好きな弘樹くんに渡そうと思って渡せていない手紙。何度か渡そうとしてみたけど弘樹くんをみると恥ずかしくなって逃げてしまう。
「私、だめだな。」
一人ため息をつきながらつぶやく。
「あ、いた~。春野~。」手を振りながら一人の少女が私に駆け寄ってくる。
「友希ちゃん・・・。」
「も~お、急にいなくなっちゃったから探したんだよ。」
少し疲れたように友希は立っていた。きっと長い時間探させてしまったんだろう。
「ごめんね・・・。友希ちゃん。」
これ以上心配をかけないように、作り笑いをする。
「そんな笑い方じゃ、私はだまされないよ。何か辛いことでもあったの?」
「・・・。」
やさしく声をかけてくれる友希に私は、何も言うことができず、ただうつむいていた。
「もしかして・・・。まだ弘樹くんに渡せてないの手紙。」
「・・・うん。」
友希の問いに小さくうなずいた。
「やっぱりそうか~。」
わかっていたかのように笑いながら私の隣に座わる。
「だめだよ、ちゃんと渡さなきゃ。私は、春野の味方だから応援するよ。」
友希の言葉に私は、立ち上がる。
「私がんばってみる。」
今度は、本当の笑顔で笑いかける。
「うん。それでこそ春野だよ。ふられたら、私が慰めてあげるから。」
とても嬉しそうに送り出してくれた。どんな結果でもいいんだ。自分の思いを伝えよう。私には、友希がついていてくれるんだから。
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