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「我上!」
月の光が俺達を照らし出す中で、友人の神奈川は真夜中の屋上で空を仰ぎながら呟いた。
「あのさ、神奈川……」
「何邪? かくた、そんな干からびた河童みたいな皿乗っけて」
「いや、我上って言ったって意味が分からないじゃないか、主に読者の方々に」
俺が月明かりをフードで被り覆い隠すと、神奈川はヘッドスピンをしながらこちらへと急接近してきた。
「怖いよ! 轢かれるじゃないか」
「知欄!」
「わかんねーよ!!」
「うっさいぞ! 今、妹と愛を確かめあってるんだから、いい加減な―
「黙れ、GUESS」
妹好きの高屋敷が横槍を入れてきたのを一閃し、神奈川の方に向き直る。しかし、当の本人は月を見上げて突っ立っていた。
「なぁー、神奈川 こんなことやって意味あんのか?」
「ナイよ」
「さらっと言うなよ、まだ話の種にすら触れてないぞ?」
「あそ」
「ホットケー、つか、お前主人公だろ?底力見せてみろよ!」
「何の?」
「知らんがな」
「高屋敷、フォローしてくれ」
「無理じゃね?」
ハァ、なんで俺の身内はこんなのばっかなんだろうか……
あんまり話したくないんだけどな、
まぁ、いいか!
……良し、
俺達が居るのは物干学園の屋上、こんな深夜にココに集まるのには深い理由があった。
それは、俺の存在についての事だった、そんなことなら平日の昼休みでもいいじゃないか、なんて思うがそうも言ってられない。
「どうすんだよ、お前の正体がばれたら“全ての事柄”が狂っちまうんだぜ?」
高屋敷が妹と会話しながら険しい顔で忠告してくるが、そんなことは百も承知だし、こうなることも初めから分かっていた―
そう、“時駆浪”になったあの時から……
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