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その日は雨が降っていた。激しい雨ではなくて静かな雨。
すれ違う人は傘をさして俯き早足で去って行く。傘もささずびしょ濡れになって歩く僕のことを気に止める人は居ない。
僕はなんで生きているのだろう。ふとそんなことを思う。
誰も答えは教えてくれない。答えは自分で見つけるしかないのかもしれない。
家についても僕は悩んでいた。
自分の存在する意味を
台所からは妹が料理をしている音が聞こえてくる。野菜でも切っているのか音は絶え間無く響いている。
暫くすると母親も帰ってきて二人の楽しそうな笑いが弾ける。
もうすぐ父親も帰ってくるだろう。
笑い声をきいていると、自分の存在する意味を考えている自分がとても馬鹿らしくなり、僕は天井を見上げる。
本当に幸せだった。普通に親がいて普通に生きて普通に死ぬ。これ程、幸せなことはないのかもしれない。
僕にそんな普通の幸せを受け取る資格はない。僕は“最低な人間”なのだから…
だからこそ僕は…
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