彼女のカラダ

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 そういえば、私の部屋は隣が浴室だと説明されて、もう片側の隣がなんの部屋なのか今まで聞いたことがないし入ったこともなかった。当時は興味が無かったし、9年間の間で知らないことが自然になったからだろうか。  ――グリム童話『青髭』のように、中に死体がたくさんあって私も殺されたらどうしようと考えたのも、少しあるかもしれない。  別に、鍵がかかっていたわけではないのだけれど。 「アヤメさんアヤメさん! あたし、本当にここを使ってもいいんですか?」  エミリさんの呼び掛けで我にかえった。お嬢様が目を回しているが、それはひとまず置いておこう。 「はい、もちろんです。なにか足りないものやお気に召さないものがあれば」 「ありません!」  そうでしょうね。
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