ギブソンと赤いキャミソール

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 俺は変な空気になった場を戻す為、取り敢えず「ごめん」と謝ると、杏哩はまた笑顔になった。 「また、壮平の歌。聞きに行くね」  そう言うと、杏哩は立ち去りながら俺に手を振り、角を曲がって見えなくなった。 * * *  俺は部屋に帰ると、ギターを部屋の隅に置きPCを起動させた。  PCが起動するまでの間、ベランダの窓から上を覗くと、いつものように少女がベランダに置いたベンチに座り、ボーッと外を眺めていた。彼女は毎日あそこで何をしているのか――全く女心は分からないな、と俺は心の中で呟いた。  PCが立ち上がると、PCデスクの椅子に腰かけ、インターネットブラウザを起動させる。もちろん、一番最初に開くページはヴァニタスである。  BBSをチェックする俺。取り敢えず、俺が昨日立てたスレッドとレスを書き込んだスレッドのチェックだ。そして、ついたレスを見て俺は優越感に浸るのだ。  ――BBSを縦にチェックしていて気付く。『アンディ』だ。  アンディとは最近このBBSに現れた奴だ。新参者だが、やたらとメメントについて詳しい。俺がレスを書こうとするスレッドに先に書き込まれている事も多い。最近じゃ、奴を称えるコメントを書き込む人も出てくる始末。  ……ムカつく。ここは俺の場所なんだ。ここでは誰であっても俺より上に立つ事は許されないんだよ。  心の中で吐き捨てた後、俺は苛立ちながらPCをシャットダウンした。
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